19世紀末、巴里。マリー=グリンダはストリップティーズの踊り子である。美しき肢体、美しき面貌、美しき柳髪。完璧なまでに整えられた美に、固執し縛られ謳歌する女である。きらびやかな夜の狭間に生きる彼女は、ある二人のデザイナーを敬愛してやまなかった。すでに巴里で彼らを知らぬひとはいなくなったアルバーノ・ヤンとシルヴァ・ヴァンサンク。それからもっと闇の方。彼女の馴染みで、彼らのブランドのパトロン、ディディエ・ラスリーには密やかな謀がある。だから金は惜しまない。無理矢理に交差した四人の人生に一石を投じたのは果たして誰であったか。
彼女は彼らの服を纏うために生きている、彼女は彼らの服を纏わねば生きていけない。
この幕間は決して高級なオートクチュールではない。粗悪なマシンメイドである。